イタリア料理は地方料理の集合体とも言われます。それほど地方性、郷土色が強いのです。それはイタリアの地形や気候に大きく影響を受けています。イタリア北部はアルプス山脈をひかえ、肥沃な平野部があります。そのすぐ南側には2000メートル級の山が続くアルペニン山脈が横たわり、北部と中・南部とを分けています。南にはベスビオ火山があり、穏やかないくつかの湾によって海に面しています。

 

また、北部はヨーロッパ的な気候であるのに対し、南部は雨が少なく晴天の日の多い地中海性気候で、乾いた風土です。こういった山の多い地形が郷土色を強め、また地域による気候の違いが食材に地方性を強めていきます。

 

オリーブオイルは産地によって色も香りも違います。海岸沿いでは魚介類が、内陸では肉類をはじめ野鳥類がよく食べられます。北イタリアの料理はアルプス山麓の酪農による乳製品が多く、バターや生クリームをたっぷり使った料理なども多くみられます。リゾットは北イタリアを発祥の地とする料理ですし、パルマ産のパルメザンチーズや生ハムなどの肉の加工品も北イタリアの特徴です。

 

これに対して、南イタリアの料理はオリーブオイルやトマトをたっぷり使った料理が多いですね。太陽の恵みから作られる料理。それが南イタリア料理だと思います。私の勝手なイメージですが、北イタリアの料理は白、南イタリアの料理は赤。また食へのこだわりや、家庭の味を大事にするイタリア人の気質があってこそ郷土の味が今もなお根強く残っているとも言えるでしょう。

 

 「スローフード運動」の発祥の地がイタリアというのも、とってもうなずける話です。